空き家を福祉施設に改築
私の地元岩瀬は、古くは北前船が入港した海の玄関でした。
今もその名残は所々にみられ、最近では観光地としても注目されています。
しかし、古い町ゆえの道の狭さ、敷地の狭さから家の建て替えは難しく生家を残し他所へと移らざるを得ない方が多いのもこの町の特徴です。
空き家は増える一方です。
そんな中、地元で福祉活動をしているO様より、空き家を利用して障碍者向けの就労施設を造る計画を聞かされました。
福家の家造りのコンセプトそのものです。
ぜひ手伝わさせてほしいとお願いしました。
O様は普段から岩瀬にかつての活気を少しでも取り戻したいと精力的に活動している青年実業家で、福家の家造りに臨むポリシーにも強く共感いただきました。
さあ築50年の古家がどう生まれ変わるか?腕の見せ所です!
両隣の家とくっついていて壁を共有している。
片側の家は老朽化が著しく全解体し駐車場にしました。
隣の家を解体したら井戸が出てきました。
2軒のの家にまたがるようにして位置しています。
お向かいのお爺ちゃんに訊いたところ、上水道がない昔はひとつの井戸を何軒かで共用してたとか。
すぐ近くにある「裏方の井戸」という有名な井戸と下で繋がってるのかもしれないとのこと。
歴史を感じさせますね。
この井戸はせっかくなので生かすことにしました。
全解体しない方の家はいわゆるスケルトン解体というやつで骨組みだけにします。
こうすることによって構造があらわになり耐震補強がやりやすくなります。
また、ほとんど入ってなかった断熱材もしっかり充填することができます。
基礎が不十分な所には継ぎ足すことで十分な強度を確保。
躯体の補強は筋交い+合板により二重に強化。
もちろん耐震金物もこれでもかってくらいに入ってます。
断熱材も隙間なくびっしり充填。
古くなった配管もすべて新しくやりかえです。
さて、工事の様子は企業秘密もありますので(笑)このへんで。
ここからは、どんなふうに変身したのかBefore&Afterでお見せしますね。
全解体した隣の家がくっついていた面はモダンなモスグリーンのガルバリウム鋼板で仕上げました。
暗くジメジメした玄関も明るくなりました。
すべての天井に施した立山杉の無垢材は効果バツグン!
香りとともに癒しの空間を作り出しています。
急勾配な直階段は緩やかな回り階段に。
狭くて寒々しかったトイレは障碍者向けに広げました。
洗面台も車いす対応です。
以前は段差だらけだった床もすべてフラットに。
建具は引戸を多用することで狭さをカバーしています。
訳有って、すべての写真をお見せすることは出来ませんがいかがですか?
以前、この家に住んでおられた方が見に来られ、あまりの変わり様に驚いておられました。
建て替えするにも敷地が狭いうえに両隣がくっついていて建てれる家は限られてくる。
解体して更地にすることも考えたが税金が高くなるだけ。売れなければ高い税金を払い続けることになる。
壊さずに誰かに再利用してもらえるのは一番ありがたかったとのこと。
「でも、こんな良いがになるんやったら、手放さんけりゃよかったわ」
って、お世辞かもしれませんが嬉しい感想です。
暑い中、頑張ったかいがありました。
また、大工さんをはじめ職人さん達にも感謝です。
正直、やりにくい所だらけでした。
さすが福家の職人。
その腕を持ってしての高い完成度だと思います。
そして何より、素晴らしい志をお持ちのO様に感謝です。
岩瀬地区のような密集地には、建て替えが困難なことから長年だれも住んでいない空き家がたくさんあります。
老朽化によりそのままでは住むことができず、立地的に壊すこともできない。
ただただ朽ち果てていくのを見てるだけ。
そんな方は一度、福家に相談してみて下さい。
新築並みの家に生まれ変わるかもしれませんよ。